彼が「婿養子」に!婿養子の意味や必要な手続きなどを解説
日本では、「嫁入り」や「婿入り」などさまざまな結婚の形があります。そのなかの一つに「婿養子」という結婚の形があるのを知っていますか? 実は婿養子は相続にも深く関わってくる結婚の形なので、安易な気持ちで選択をすると後々思わぬトラブルに発展することもあります。
そこで今回は、あまり馴染みのない婿養子の意味や手続きについてご紹介します。両親や彼(彼女)との結婚の話し合いのなかで婿養子の話題が出たという人や、婿養子となる予定だという人は要チェックです。
目次
「婿養子」の意味って? 「婿」とは違うの?
婿養子とは、女性の両親と養子縁組し、女性と婚姻関係を結ぶことです。養子縁組を結ぶということは、女性の両親と親子関係になるため、扶養義務や相続権が発生します。どちらも後々トラブルに発展する可能性がある事柄なので、メリットだけでなくデメリットもしっかりと検討し、慎重に話し合いを進めましょう。
カップルが婿養子の形を取る理由としては、「女性が一人っ子または男兄弟がいないため跡取りを探している」ことなどが挙げられます。他にもさまざまな理由から婿養子の形を取るカップルがいます。
ちなみに、婿養子と似た言葉として婿がありますが、婿は男性が女性の姓を名乗るときに使う言葉。婿養子とは違い、養子縁組をするわけではないので、相続権などは発生しません。婿養子と婿の意味を勘違いして使っている場合もあるので注意しましょう。
婿養子になるために、必要な手続きとは?
一般的には、婚姻届を提出すれば、公的にも夫婦と認められることになります。しかし、女性の両親と養子縁組をおこなう婿養子では、養子縁組届の提出も必要です。ここからは、婿養子になるために必要な養子縁組届の手続きについてご紹介していきます。
※婚姻届の手続きの仕方については、「結婚のキホン!婚姻届の書き方&提出方法をチェック」をご確認ください。
そもそも養子縁組届って何? どこに提出するの?
養子縁組届は、血縁や嫡出の親子関係がない人たちに、嫡出の親子関係を結ぶための届け出です。婿養子のほか、子連れ再婚で子供を養子にする場合などに提出します。養子縁組を提出すると新たに親子関係が結ばれることになりますが、実の親子関係がなくなるわけではありません。
養子縁組届の提出は、届出人(養親・養子となる人)の本籍地または所在地がある役場でおこないます。届出には、以下のようなものが必要になるので、準備をしましょう。
- 必要なもの
- 養子縁組届
- 戸籍謄本(こせきとうほん)
- 印鑑(スタンプ印はNG、届出人それぞれが必要となる)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
戸籍謄本は、養子縁組届の提出を本籍以外の役場でおこなう場合に必要です。たとえば、養親となる人が東京都世田谷区に、養子となる人が東京都足立区に本籍があり、東京都世田谷区で手続きをする場合、養子となる人は戸籍謄本が必要になります。
戸籍謄本は、本籍地のある役場で入手可能。郵送による入手もできますが、時間がかかるため、遠方に本籍地のある人は早めに動き出した方が良いでしょう。
養子縁組が成立するには条件がある
養子縁組は誰でもできるわけではなく、成立するためには、いくつか条件があります。以下は、養子縁組が成立するための条件です。多くの場合、条件をクリアしていると思いますが、年齢差が大きい年の差婚で養子縁組をする場合などは注意が必要になるかもしれません。
- 養子縁組の成立条件
- 縁組の意思がある
- 養親となる人が成人している
- 養子となる人が養親となる人より、年齢が下である
- 養子となる人が養親となる人の嫡出子や養子ではない
養子縁組届を記入する際の注意点
基本的には、養子縁組届に記載されている通りに記入していけば問題ありません。心配な方は、養子縁組届の記入例をホームページ上で紹介している自治体もあるので、書き始める前にチェックしておくと良いでしょう。ここでは、スムーズに提出するために覚えておきたい、記入時の注意点をご紹介していきます。
- 「氏名・生年月日」は、養子の欄に記入。養女は女性が養子になる際に活用。
- 「本籍」は、養子縁組前の情報を記入。
- 「父母の氏名」には、父母が現在も婚姻関係にある場合、母は名だけ記入。離婚をしている場合は、現在の氏をそれぞれ記入。
- 「入籍する戸籍または新しい本籍」には、養子縁組後の本籍を記入。
- 証人となる成人が2名必要。
養子縁組届も婚姻届と同様に、2名の証人が必要になります。証人は成人している人であれば誰でもOKです。証人欄に「署名」「押印」生年月日」「住所」「本籍」を記入してもらいましょう。
「婿養子」をする場合は、しっかりとした話し合いを!
婿養子の意味や手続きの仕方について、ご紹介しました。婿養子をすると、妻となる人だけでなく、その両親との関係性も大きく変わることになります。ふたりだけの話し合いでは決められないことなので、両家の家族を含め、しっかりと話し合いの場を設けるようにしましょう。