何が正解?何が間違い?披露宴でのお酌の正しいマナー
結婚披露宴でのマナーについて、特にホスト側は誤りがないよう気を遣うものです。人によっては事前にマナー本などを購入し、勉強される方もおられるでしょう。
今回はそんなマナーのひとつ、お酌について取り上げてみたいと思います。このお酌、実は人や地域によって考え方がさまざまでとても難しいものなのです。
結婚披露宴におけるお酌のあり方について、一緒に考えてみましょう。
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目次
本来はお酌をして回るのはマナー違反
披露宴のスタイルが和風であっても洋風であっても、本来グラスを満たすのは会場のスタッフの役目です。
そのため、多くの場合で各テーブルに係がつきドリンクがなくなっていないかどうかを見て回っていますよね。
マナー的に言えば、ドリンクを満たすのはスタッフの仕事ですので、誰であろうとお酒を注いで回る必要はないのです。
日本ではお酌をするのがマナーとされることも
しかし日本の場合、宴会ではホスト側がゲストをもてなすためにお酌をしてまわる慣習があります。
特に、昔の結婚に際しての宴は自宅で開くことが多かったので、主やその妻が客人をもてなすのは当たり前のことでした。
この慣習は現代の披露宴においても踏襲されています。ですが結婚式場などを借りて披露宴を行う場合、新郎新婦はなかなか自由に動き回れません。特に新婦は和装・洋装問わず、自分で自由に動き回りにくい衣装を着ていて身動きがとりにくいので、お酌して回るのは難しいでしょう。
それでは、一体どうやってゲストたちをもてなせば良いのでしょうか。
ご両親がテーブル回りをする場合が多い
一般的な披露宴では、新郎新婦たち自身ではなく、お互いのご両親がいらしてくださったゲストの方々のテーブルを回りお礼をかねてお酌をする様子がよくみられます。
その場合も特に男親の方がお酒を手にして注いで回ることが多いようです。
招待客の人数が多い場合には、主賓の方のテーブルをメインにスピーチやイベントの間を縫ってご挨拶に伺います。
新郎新婦のご友人にもお酌をしてまわられる場合もあり、それは人によってさまざまです。
皆さんの中にも、友人の結婚式に出席した際に新郎新婦の親御さんたちからお酌をされたことがある方が多いのではないでしょうか。
筆者も何度か経験しましたが、自分の親世代の方からお酌をされるという経験はあまりないのでなんだか恐縮してしまいました。ただこれも、親御さん達が新郎新婦に代わって私たちをもてなしてくれているのだとわかれば、感謝してありがたく受けられそうですね。
また、その際に新郎新婦との学生時代の思い出などを伝えると喜ばれるものです。
新郎側と新婦側の足並みがそろっている方が望ましい
新郎新婦のご両親のされることをいちいち細かくチェックする方は少ないですが、できれば新郎側のご両親がお酌をするような場合には新婦側も行う、といったように、双方のもてなし方がそろっている方が違和感を覚えずにすみます。
一方がお酌をして回るようであれば、もう一方もお酌をするのが望ましいかたちです。
新郎もお酌に回る必要はない
新郎新婦は披露宴中になかなか身動きが取れずお酌に回りづらいことがわかりましたが、そうはいっても新婦と違い身軽な新郎は少しでもゲストにお酌をしてまわるべきなのでしょうか。
結論から言うと、新郎もゲストにお酌をしてまわる必要はありません。
その理由としては、披露宴は演出などがたくさん用意されているため、新郎新婦が席を離れる時間が取りにくいことが挙げられます。
実際、新郎新婦は自分の目の前に出された料理も満足に味わえないほど、時間がないものなのです。
新郎新婦が各テーブルを回る演出もあることが多いのですが、その際もテーブルの皆で写真を撮って回るだけで時間的にギリギリでしょう。それ以上一つ一つのテーブルに長居すると、トータルでは新郎新婦が高砂席から離れている時間が長くなりすぎてしまいます。
また、ゲストにしてみると新郎新婦の2人を見ることができない時間が長く、残念な披露宴だったという印象を受けるでしょう。それだけでなく披露宴自体が長丁場になってしまい、ゲストたちにも負担をかけることになってしまいかねません。
このように、時間的に新郎新婦がお酌をして回ることが難しいため、お酌ができないものだという認識となっています。
新郎はむしろお酌を受ける側
披露宴では、新郎がゲストからお酌を受けるシーンを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
高砂席に座っていると、ゲストが入れ替わり立ち替わりビール瓶を持って新郎のそばに寄ってきてくれます。これはゲストから新郎に向けてのお祝いのしるしですので、ありがたく受けたいですよね。
ただし、せっかくだからと素直にお酌を受け、酔っ払ってしまって羽目を外すのもマナー違反です。
お酒にめっぽう強い人ならいざ知らず、そうでない人は受けたお酌を全て律儀に飲んでしまうと酔ってしまうでしょう。
新郎が酔いすぎて披露宴最後のイベントである新郎による挨拶でろれつが回っていなかったということや、二次会に参加できなかった、なんて方も多くいらっしゃるのです。
本来はお酌を断ってもマナー違反にはならない
人によってはお酒を飲めない場合もありますし、お酒は強要すべきものではありません。ただでさえめでたい席です。酔って具合が悪くなるような事態は避けるべきでしょう。
お酌をお断りする際には、グラスに手をかざしてお礼を述べながらやんわりと辞退すれば良いのですが、年配の方や酔ったご親族はそれでは納得しない場合もあります。
その際には、お酌を受けて口をつける振りをして、ゲストが高砂から去られた後にそっと中身を捨てるようにしましょう。そのために、新郎新婦の足元にはバケツが用意されます。
また、普段ならばお酌を受ける際にはグラスを空けてから受けるのがマナーですが、結婚式の場では新郎新婦はたくさんお酌を受けていることが明らかですので、グラスを毎回空けてから受ける必要はありません。
むしろ敢えてグラスを満たしておくと、ゲストも少しだけお酌をしてくれるので、飲みすぎを避けられるでしょう。
ただし、例外も
新郎新婦は基本的にはお酌をせず、高砂に座っているものです。ただし、中には例外もあります。
近年のひとつの余興として、新郎がビールサーバーを担いでゲストの間をまわるというものがあります。このような場合には、ゲストに楽しんでいただくために新郎が席を外しても問題はありません。
お酌についての意見は、人によってさまざま
一般的には、ゲストにご足労いただいたお礼を新郎新婦のご両親が述べて回るのが日本における披露宴の際のマナーと考えられています。
しかし、これには地域差やご親族間での考え方の違いなどがあり、場合によってはご両親がもてなすべきはご親族であるとお考えの方もいらっしゃいます。
確かに、かつては自分の子の結婚の際に、新郎新婦を披露する相手はご親族やご近所のゆかりある方々だったのですから、この考え方も間違っているとは言えません。
そのため、新郎新婦のご友人にお酌をしてまわるという発想がない方もいらっしゃいます。その場合、親族のみにお酌をして回るご両親の姿があるかもしれませんが、こちらもマナー違反とは言えませんので、頭ごなしに否定しないようにしましょう。
たかがお酌、されどお酌です。ゲストの方々というよりも、親族間で考え方に食い違いがあった場合後々まで引きずることになりかねませんので、お酌については、当日のやり方についてあとでもめることがないよう、事前に両家の考え方をすり合わせておくのが良いでしょう。
いかがでしたか。
一般的に言われているお酌の考え方について述べてきましたが、お酌についてはどれが正解というものはありません。
人によっては、新郎新婦のご両親がお酌をしないことに疑問を感じられることもあるようです。かといって、お酌をしてまわることが当然というわけでもありません。お酌をするもしないも、あくまでも個人の考え方の違いなのです。
ゲストにお酌をしないことは決してマナー違反ではないということを覚えておきましょう。