黒留袖には家紋が必要?結婚を機に知りたい「家紋」のこと
結婚を機に、黒留袖を仕立てたいと思っている方もいるのではないでしょうか。黒留袖を仕立てる際に気になるのが、「家紋」のこと。そもそも家紋は入れるべきなのか、結婚後に着る黒留袖にはどんな家紋を入れたら良いのかなど、着物初心者にとってわからないことが多いですよね。
そこで今回は、家紋とは?という基本的なことから、黒留袖に家紋が必要なのか、ということまで、着物と家紋に関するアレコレをお話していきます。結婚を機に着物を仕立てる予定の方はもちろん、そうでない方もチェックしてみてください。
目次
そもそも「家紋」とは?
黒留袖に家紋を入れるかどうかという話の前に、まずは家紋について改めておさえておきましょう。そもそも家紋とは、代々家に受け継がれてきた紋章のこと。平安時代にはすでに家紋があったとされ、現在では着物や墓石などで見かけます。
家紋のデザインは家によって異なるため、着物に家紋を入れたい場合は、自分の家の家紋を入れます。ただ、現代では着物を着る機会が減ってきていることもあり、自分の家の家紋がわからないという人も……。その場合は、親族に話を聞いたり、墓石や仏壇などを確認したりするなどして、把握すると良いでしょう。
ちなみに、家紋には長寿や子孫繁栄といった、意味が込められていることも。どんな意味が込められているのか調べてみるのも面白いですよ。
「黒留袖」には、家紋が必要?
では、黒留袖には家紋を入れる必要があるのでしょうか? 結論から言うと、黒留袖に家紋は必要です。といっても、どこに家紋を入れればいいのかわからないという人もいるでしょう。次項では、黒留袖の家紋についてより詳しく説明をしていきます。
黒留袖には“五つ紋”を入れる
そもそも着物に入れる家紋には、一つ紋・三つ紋・五つ紋があり、紋の数が多いほど格が高くなります。家紋の場所は、一つ紋の場合は背中の中央に、三つ紋は一つ紋+後ろ袖の左右に、五つ紋は三つ紋+両胸に入れます。
黒留袖は、結婚をした女性の第一礼装であり、最も格が高い“五つ紋”を入れるのが一般的です。黒留袖のほかに五つ紋を入れる着物には、黒喪服などがあります。
黒留袖に入れる家紋とは?
黒留袖に家紋を入れるときに注意したいのが、家紋の種類。当たり前ですが、実家の家紋と夫の家の家紋は異なります。結婚後にどちらの家紋を入れれば良いかは、地域によって考え方が異なるため、実家や義実家などに話を聞いてから決めると良いでしょう。
なお、着物の家紋は別の家紋へ入れ替えができる場合が多いです。黒留袖に限らず、家紋がすでに入っている着物を親から譲り受けたけど、結婚後に家紋を変えたい、という場合は一度呉服店などに相談してみると良いでしょう。
黒留袖をレンタルしたときの家紋は?
ここまでは、自分で黒留袖を仕立てるケースを想定してお話しましたが、最近は着物着る機会が減っており、必要に応じて着物をレンタルするケースも少なくありません。では、レンタルの黒留袖の家紋はどうすれば良いのでしょうか?
レンタルの場合は、通紋である「五三の桐」が入っていることが多いです。通紋とは、誰もが使える家紋のこと。自分の家の家紋ではないけど大丈夫なの?と思う人もいるかもしれませんが、昨今は着物をレンタルすることも少なくなく、問題にならないことが多いようです。心配な方は、事前に周囲に確認するなどしておくと安心ですね。
黒留袖以外にも家紋って入れるの?
ここまでの話の流れですでにお気づきの方も多いかもしれませんが、着物に家紋を入れるのは黒留袖だけではありません。では、どんな着物にどんな家紋を入れるのでしょうか? ここからは、黒留袖以外で家紋を入れることがある着物について、いくつかご紹介していきます。
【色留袖】
色留袖は、既婚女性や未婚女性の準礼装として着られる着物。黒留袖の生地が黒なのに対し、こちらは華やかな色合いをしているのが特徴です。着ていくシーンに合わせて、三つ紋や一つ紋を入れます。五つ紋を入れることもあり、この場合は親族の結婚式などに着ていく、第一礼装として着用可能です。
【色無地】
色無地は、黒以外の色をした無地の着物です。一つ紋を入れた色無地は、準礼装として茶会などに着ていくことができます。紋を入れない場合は、普段着として着ることが可能です。
【訪問着】
訪問着は、上半身にも模様が入った華やかな着物で、さまざまなシーンで活躍してくれます。紋なしの場合はお出かけ用として、一つ紋を入れた場合は準礼装として着ていくことができます。
着物を着るときに覚えておきたい、家紋の知識!
黒留袖には、基本的に五つ紋を入れますが、その他の着物のなかには、家紋の有無によって格が変わる物も多いです。家紋を入れたことにより、着ていける場面が狭まってしまう場合もあるので、家紋を入れる際は慎重に決めるようにしてください。結婚を機に着物を仕立てる予定という方は、しっかり家紋について学んでから入れるようにしましょう。