LGBTの権利拡大へ! 米国で同性婚が容認された背景と日本の同性婚の現状

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同性カップルの婚姻を認める同性婚。現在日本では、一部の地域でパートナーシップ制度が導入されているものの、同性婚は認められていないのが現状です。では、世界の同性婚事情はどのようになっているのでしょうか?

LGBT先進国であると言われているアメリカで同性婚が合憲だという判決がくだされたのは、2015年6月のこと。これにより、アメリカ全土で同性婚が容認される運びとなりました。

そこで今回の記事では、セクシャルマイノリティと表現されるLGBTを理解しつつ、アメリカで同性婚が容認されるまでの背景や日本の同性婚の現状についてお話しをしていきます。

 
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目次

あらためて知っておきたい「LGBT」について


近年、雑誌やテレビなどさまざまなメディアにより目にする機会が増え、認知度も高くなってきている「LGBT」という言葉。アメリカや日本の同性婚事情についてお話する前にまずは、LGBTについてあらためて確認をしていきましょう。

ここでは、「LGBTとは?」ということに焦点を当てていきます。

 

そもそもLGBTとは?

LGBT(エルジービーティー)とは、次の4種類のセクシャルマイノリティ(性的少数者)の頭文字をとった言葉です。

  • L:レズビアン(女性の同性愛者)
  • G:ゲイ(男性の同性愛者)
  • B:バイセクシャル(両性愛者)
  • T:トランスジェンダー(心体の性の不一致)

LGBTはセクシャルマイノリティを総称する言葉として知られていますが、ほかにも、アセクシャル(無性愛者=どちらも愛さない)など、さまざまなセクシャルマイノリティが存在しています。

そのため、LGBTをそのまま「セクシャルマイノリティ」であると表現することも、LGBTという言葉自体もほかのセクシャルマイノリティの人たちの存在を無視するかのように捉えられ、問題があると言われることがあります。

また、LGBTにクイアやクエスチョニング(※)である「Q」を加えた「LGBTQ」という言葉が使われることもあり、こちらはLGBTよりも広範囲のセクシャルマイノリティの人たちを指します。

※クイアは、セクシャルマイノリティの総称。クエスチョニングとは、性的自認が定まっていない人のこと指します。

 

LGBTの人口

LBGTはアメリカに8万人ほどいると言われています。これは人口比の約3%にあたります。しかし、LGBTでありながら、自らがLGBTだと表明していない、「隠れLGBT」が一定数いることを想定すると、その数は人口の3%以上いてもおかしくはありません。実は、10%程度いるという意見もあるそうです。

参考:https://www.theguardian.com/

日本でも約5~8%の人がセクシャルマイノリティにあたると言われています。これは、日本で最も多い名字である「佐藤」姓を持つ人の約5倍。

「身近にLGBT当事者はいない」と思っている人も少なくありませんが、セクシャルマイノリティの人が身近にいるということがわかってもらえたのではないでしょうか。

 

LGBTと同性婚


これまで同性婚は主に宗教的な背景から反対する意見が多く、認められてきませんでした。しかし、同じ人間であるにも関わらず、非マイノリティは結婚する権利が認められ、マイノリティは結婚する権利がないというのは、時代遅れであると世界で考えられつつあります。

 

アメリカで同性婚が合憲化へ

2015年6月26日、アメリカで同性婚が合憲だという判決が最高裁でくだされました。それまではアメリカの50の州の内、36の州で同性婚が可能でしたが、この決定によりアメリカの全ての州で同性婚が全面的に解禁する見通しが立ちました。

それぞれの州での法改正が必要ですが、事実上の同性婚の解禁です。

自らも黒人として、マイノリティと表現されることがある、アメリカのオバマ大統領はこの決定を祝い、Twitterで以下のように呟いています。

Today is a big step in our march toward equality. Gay and lesbian couples now have the right to marry, just like anyone else. #L
oveWins
今日は我々の平等に向けた歩みにとって大きな一歩だ。ゲイもレズビアンのカップルは今、他の誰も同じように結婚する権利がある

その後、アメリカ国中で勇気づけられた同性カップルによる結婚が相次いでいるとのこと。法的に認められた以上に、社会的に認められたという側面が大きいのです。

日本ではまだまだ同性婚については敷居が高いものですが、今回のアメリカの判断はどういった経緯で、またどういった考えでなされたものなのでしょうか。以降、アメリカの同性婚容認に至るまでの背景や世界の状況を紹介します。

 

世界の同性婚の歴史

同性愛者の存在は、古くは有史以前の古代エジプトにまでさかのぼります。しかし、同性同士の婚姻について本格的に議論されてきたのは1980年ごろからで、非常に最近の出来事なのです。

それまではずっと、イスラム教や仏教諸国はもちろん、ヨーロッパのユダヤ・キリスト教国でも、その教えに反することから長く違法だとされていました。

近代になって、「キリスト教の教えが世俗的になってきたこと」、そして「個人の自由が尊重されるにつれて、同性愛者たちへの自由も平等に扱われるべきだ」ということで同性婚がヨーロッパを中心に認められるようになってきたのです。

世界で最初に同性婚の法律を施行したのは、オランダ(2001年4月1日、法律施行)。それから約20年の時が立ちますが、同性婚が法的に認められている国や地域はまだ少なく、現在同性婚が認められている国や地域はアメリカや北アイルランドを除くイギリス、オランダ、ベルギーなど24カ国にとどまっています。

とくに日本を含むアジアの国々で同性婚が法的に認められた国や地域はありませんでした。

そんななか、昨今台湾で同性婚を認めないのは違憲であるという判決がでたことにより、台湾がアジア最初の同性婚合法化に動き出したと言われています。これにより、日本でも同性婚の議論が高まることが期待されています。

また、イタリアやスイスなどはパートナーシップ制度があり、先述した同性婚を法的に認めている国や地域と合わせると世界の約20%の国や地域が同性パートナーの権利を補償しています。

しかし、同性婚への理解が進む国や地域が増える一方で、同性婚禁止法を成立させる国もあります。なかには、同性間の性交渉に対し刑罰を科している国もあるということを忘れてはいけません。

 

アメリカの同性婚解禁までの道のり

アメリカの同性婚の様子を見るとアメリカではこれまで、2004年にマサチューセッツ州で同性結婚の登録が始まって以来、全50州のうち36の州とワシントン特別区(DC)で法的に同性婚が認められてきました。

しかしその一方で、残る14の州ではこれが禁じられており、そのなかの4州(ケンタッキー州・ミシガン州・オハイオ州・テネシー州)で同性婚を禁じる州法を違憲だとして同性カップルたちが訴訟を起こし、大きなムーヴメントに発展しました。

同性婚が認められている州が多く存在していたのにもかかわらず、2015年6月26日の同性婚の合憲判断までの道のりは長く険しいものでした。

米国で同性婚について大きく注目されたのは、1993年にハワイ州の裁判所が「同性カップルに結婚の権利を認めないのは平等原則に反する」という判決を出したとき。

このことについて全米中で反発が起き、いくつかの州では結婚を男女間の関係に限定する法律が制定され、連邦議会までもが1996年に「婚姻は男女の関係に限定する」とした結婚防衛法成立させました。

それでも他州に先駆けて、2004年にマサチューセッツ州で同性婚を解禁してから、同性婚解禁への流れが強くなり始めました。

しかし、アメリカは敬虔なキリスト教信者が多く、解禁の流れが強くなると同時に、彼らを中心に同性婚解禁への反対も強くなってきたため、いったんは同性婚が認められたはずのカリフォルニア州では2008年に再び禁止されるなど、同性婚は世論に左右されながら不安定な歩みを見せます。

その後も少しずつ同性婚を認める州が増え、アメリカの人口の70%にのぼる州が認めるようになってきた近年、米国全体での同性婚の扱いについて議論がなされてきました。

その結果、2015年6月26日に最高裁で、同性婚は合憲だと9人の判事のうち5人が賛成したことで決定されました。ただし、4人は違憲だと判断している事実も無視することはできません。

僅差でトランプ大統領が誕生したように、グローバル化の結果、世界の多様化は進んでいます。互いが理解するためにはお互いに耳を傾け対話することが必要なのです。

 

同性婚に反対する人たちの意見にも耳を傾ける必要がある

すでにお話した通り、最高裁での判事たちの意見は5対4となりましたが、わずかな差で今回は同性婚が容認されました。

その反対意見とはどのようなものだったのでしょうか?

反対意見の焦点は「同性婚を認めない」ことではなく、同性婚賛成派が合憲の根拠として主張した、合衆国憲法14条の「法の下の平等を保障する~」という条項における「自由」という解釈について、長い年月と人々の意思・合衆国の伝統と歴史が詰め込まれた憲法を最高裁(司法)が解釈によって変えてしまってもいいのか、それは立法でなされるべきではないのか、という点でした。

これは日本における憲法第9条をめぐる議論とも似ていますよね。

実は、最高裁判事は大統領や国会議員たちとは異なり、選挙で選ばれた(=民意を反映した)人ではありません。これは判事の意向がときの政権与党の利害によって影響を受けないように、判事としての任期を設けず、終身とされているからです。

民意によって影響を受けない判事たちが、憲法の解釈を揺るがす決定をしてしまっていいのか、という点で反対派は意見していました。

もし、判事による憲法解釈の変更を認めてしまえば、今後同性婚に限らず、アメリカ合衆国の重要な決定に、重い影響を及ぼす可能性を反対派は危惧したのです。

唱えられていた反対意見は、決して無視することができるものではありません。耳を傾け、尊重に値する意見といえるでしょう。

 

日本のLGBTと同性婚の現状について


これまでアメリカや世界の同性婚についてお話をしてきましたが、私たちが暮らす日本での同性婚事情はどのようになっているのでしょうか?日本の同性婚の現状について見ていきましょう。

 

LGBTを取り巻く日本の現状

LGBTの話題というと、勝間和代さんが同性パートナーの存在を告白したことが記憶に新しいという人もいるでしょう。昨今ではLGBT当事者である芸能人の活躍やカミングアウトなどもあり、昔に比べるとLGBTへの理解度は進んでいる印象があります。

企業でもLGBTへの取り組みが活発化。保険会社では、保険金の受取人を同性パートナーにできるサービス、大手携帯会社では同性パートナーも利用できる家族割引サービスが提供されるなど、LGBTへの関心は社会的に高まりつつあります。

しかし、いまだにLGBT当事者に対する差別や偏見があるのが現状で、家族であってもカミングアウトできないという声が聞かれることもあります。また、日本では同性同士のパートナーに関する法整備が進んでいないことから、LGBTを取り巻く環境はまだ課題が多いと言わざるをえません。

 

日本の同性婚の動向は?

冒頭でもお話したとおり、現状日本には同性婚は認める法律はありません。異性同士のカップルでも事実婚状態という人はいますが、医療行為への同意や遺産相続など、法的に結婚を認められていないことによる弊害はいくつもあり、整備が求められています。

そんななか、自治体を中心に進んでいるのが「パートナーシップ制度」の導入。パートナーシップ制度とは、結婚に相当する関係を認める制度のことです。(法的拘束力はありません)現在日本では、7つの自治体がパートナーシップ制度の導入をしています。

パートナーシップ制度を導入している自治体は以下の通りです。

  • 東京都渋谷区
  • 東京都世田谷区
  • 三重県伊賀市
  • 兵庫県宝塚市
  • 沖縄県那覇市
  • 北海道札幌市
  • 福岡県福岡市

約180組のカップルが、これらのパートナーシップ制度を利用したことがわかっています。また、2018年6月には「パートナーシップ制度」の導入を求めて23市区町議で請願書などを一斉に提出したことがニュースになりました。

すでに東京都中野区と大阪市、千葉市ではパートナーシップ制度の導入を予定しているなど、今後もパートナーシップ制度の導入が進むと言われています。

 

結婚を機にセクシャルマイノリティについて考える


世界的に理解が進む同性婚。日本でも、自治体単位ではありますが、パートナーシップ制度の導入が進んでいます。自らの結婚を考える機会に、同性婚の問題について知り、考えてみることもいいのではないでしょうか。

時代が変わりつつある現在において、自分が同性愛者かどうかに関わらず、平等な権利や自由の意味について、しっかりと考える時が来ているのかもしれません。

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